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【歯科医が解説】6歳臼歯が虫歯になりやすい5つの原因と効果的な予防法
こんにちは。横浜市緑区十日市場ファミリー歯科の院長・正木です。日々の診療では、お子さまの歯の健康に関するご相談を多く受けています。特に「6歳臼歯」についてのご質問は非常に多いです。
6歳臼歯は、その名の通り平均的に6歳頃に生えてくる永久歯で、乳歯の生え変わりとは別に、乳歯の一番奥の更に後ろから生えてきます。実はこの歯は、生涯の咀嚼機能を支える重要な役割を担っていますが、同時に虫歯になりやすいという特徴も持っています。
この記事では、6歳臼歯が虫歯になりやすい理由と、お子さまの大切な歯を守るための具体的な予防法について、歯科医師の視点から詳しく解説していきます。
6歳臼歯とは?その重要性について

6歳臼歯の基本知識
6歳臼歯は「第一大臼歯」とも呼ばれ、乳歯から永久歯への交換とは別のタイミングで口腔内に登場します。上下左右に1本ずつ、計4本あり、通常は5歳半から7歳の間に生えてきますが、個人差もあります。
特筆すべきは、6歳臼歯は生え変わりではなく、まったく新しい位置に生えてくる最初の永久歯だという点です。このため、多くの保護者の方が「まだ奥に生える歯があったのか」と気づかないことも少なくありません。
なぜ6歳臼歯は重要なのか?
6歳臼歯が担う重要な役割は主に以下の3つです:
- 咀嚼機能の中心的役割:6歳臼歯は、食べ物を噛み砕く際に最も強い力を発揮する歯です。歯全体の咀嚼能力の60〜70%を担うとも言われています。
- 永久歯の噛み合わせの基準点:6歳臼歯は、その後に生えてくる他の永久歯の位置や噛み合わせを決める「ランドマーク」となります。そのため、この歯が失われると、他の歯の位置にも影響が出ることがあります。
- 顎の発達への貢献:しっかりと噛むことは顎の正常な発達を促します。6歳臼歯を早期に失うと、顎の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。
このように、6歳臼歯は一生の咀嚼機能や歯並びに大きく関わる重要な歯なのです。しかし残念ながら、この重要な歯は虫歯のリスクが特に高いことが知られています。
6歳臼歯が虫歯になりやすい5つの理由

6歳臼歯が虫歯になりやすい理由は主に5つあります。これらの特徴を理解することで、効果的な予防法を取ることができます。
1. 一番奥に生えてくるため磨きにくい
6歳臼歯は口の一番奥に生えてくるため、特にお子さまにとっては歯ブラシが届きにくい位置にあります。また、生えかけの状態では前の乳歯との間に段差ができるため、その部分に汚れが溜まりやすくなります。
横浜市内の小学校での歯科検診データによると、低学年の虫歯の約40%がこの6歳臼歯に集中しているというデータもあり、磨きにくさが大きな要因と考えられます。
2. 複雑な溝構造があり汚れが溜まりやすい
6歳臼歯の咬合面(噛む面)には、複雑で深い溝(小窩裂溝)があります。この溝は乳歯の溝よりも複雑で深いため、食べかすや細菌が溜まりやすく、歯ブラシの毛先が十分に届かないことが多いです。
研究によると、子どもの6歳臼歯の虫歯の約80%はこの溝から始まるとされています。特に溝の深さが0.5mm以上になると、通常の歯ブラシでは十分に清掃できないことがわかっています。
3. 歯肉(歯茎)が被さった状態で生えてくる
6歳臼歯が生えてくる過程では、歯の一部が歯肉(歯茎)に覆われた状態になります。この状態を「歯肉弁」と呼びますが、この歯肉弁と歯の間に食べかすが入り込み、炎症を起こしたり、虫歯の原因になったりします。
また、この状態では痛みを伴うこともあるため、お子さまが磨くのを避けてしまい、さらに清掃不良に陥りやすくなります。
4. 萌出したての歯は耐酸性が弱い
永久歯は生えたての時点では、エナメル質の石灰化(硬さ)が十分でなく、酸に弱い状態です。6歳臼歯が口腔内に現れてから約2〜3年かけて、唾液中のカルシウムやリン、フッ素などのミネラルの作用により徐々に強化されていきます。
つまり、生えたての6歳臼歯は「未熟」な状態であり、この時期を無事に乗り切ることができれば、その後の虫歯リスクは大きく減少します。
5. 口腔内の虫歯菌環境の影響を受けやすい
虫歯は感染症の一種です。すでに口腔内に乳歯の虫歯がある場合、その細菌(特にミュータンス連鎖球菌)が新しく生えてきた6歳臼歯に感染する可能性が高まります。
日本小児歯科学会の研究によると、乳歯に2本以上の未処置の虫歯がある子どもは、そうでない子どもと比較して、6歳臼歯が虫歯になるリスクが約3倍高いことが報告されています。これは、口腔内の細菌環境が6歳臼歯の健康に直接影響することを示しています。
効果的な6歳臼歯の虫歯予防法

6歳臼歯を守るためには、生える前からの予防的なアプローチが重要です。ここでは、当院でも推奨している効果的な予防法をご紹介します。
1. 正しい歯磨き方法の習得とサポート
6歳臼歯は位置的に磨きにくいため、特別な注意と工夫が必要です。
具体的な磨き方のポイント:
- 歯ブラシの選び方:ヘッドが小さめで、毛先が細いタイプがおすすめです。お子さまの口のサイズに合ったものを選びましょう。
- 磨き方:歯ブラシを横向きにして奥歯の内側や外側に届くようにしましょう。
- 保護者によるチェック:お子さまだけの歯磨きでは不十分なことが多いです。7〜8歳くらいまでは仕上げ磨きを行い、それ以降も定期的なチェックが大切です。
2. シーラント処置による予防
シーラントとは、6歳臼歯の溝を特殊な樹脂で埋める予防処置です。虫歯になりやすい溝をカバーすることで、食べかすや細菌の侵入を防ぎます。
シーラントの特徴:
- 痛みなし:基本的に削る必要がなく、痛みを伴わない処置です。
- 高い予防効果:正しく施術されたシーラントは、咬合面の虫歯を70〜80%予防できると報告されています。
- 適切な時期:6歳臼歯が十分に萌出した時点(噛む面全体が見える状態)で行うのが最適です。
シーラントの耐久性は平均4〜5年程度ですが、定期的な検診で状態を確認し、必要に応じて再処置を行うことで長期的な予防効果を期待できます。
3. フッ素塗布による歯質強化
フッ素は歯の再石灰化を促進し、エナメル質を強化する効果があります。特に生えたての6歳臼歯には効果的です。
フッ素応用の方法:
- 歯科医院での専門的塗布:高濃度のフッ素を定期的(3〜4ヶ月ごと)に塗布します。
- 家庭でのフッ素製品の使用:フッ素配合の歯磨き剤を使用し、日常的にフッ素を補給します。子ども用の低濃度フッ素配合歯磨き剤から始め、年齢に応じて適切な濃度のものを選びましょう。
フッ素の効果は累積的であり、継続的な使用が重要です。
4. 定期的な歯科検診の重要性
6歳臼歯の健康を維持するためには、定期的な歯科検診が欠かせません。特に生え始めてから3年間は要注意期間です。
定期検診のメリット:
- 早期発見・早期治療:初期の虫歯は症状がほとんどなく、専門家による検査でしか発見できないことが多いです。
- プロフェッショナルクリーニング:歯科衛生士による専門的なクリーニングで、自宅では取り切れない汚れを除去します。
- 継続的な予防管理:お子さまの口腔内状況や生活習慣の変化に合わせた、最適な予防アドバイスを受けられます。
一般的には3〜4ヶ月ごとの定期検診をおすすめしていますが、お子さまの虫歯リスクに応じて間隔を調整することも大切です。
5. 食生活の改善と管理
虫歯予防において、食習慣の管理は歯磨きと同じくらい重要です。特に砂糖の摂取頻度が虫歯リスクに大きく影響します。
食習慣の改善ポイント:
- 間食の回数を減らす:一日の間食は2回程度に抑え、だらだら食べを避けます。
- 甘い飲み物に注意:ジュースやスポーツドリンクには多くの砂糖が含まれています。水や麦茶などの無糖飲料を基本にしましょう。
- 食後の歯磨きタイミング:食後すぐに歯を磨くのではなく、唾液の働きを活かすため、食後30分程度経ってから磨くのが効果的です。
6歳臼歯のケアに関するよくある質問(FAQ)
ここでは、保護者の方からよく寄せられる質問にお答えします。
Q1: 6歳臼歯が生えてきたかどうか、素人でも確認できますか?
A: はい、確認することができます。お子さまの口を開けてもらい、上下の奥歯を見てください。乳歯の一番奥の更に後ろに新しい歯が見えていれば、それが6歳臼歯です。まだ完全に生えそろっていない場合は、歯茎から一部だけ見えていることもあります。不安な場合は、歯科医院で確認してもらうことをおすすめします。
Q2: 6歳臼歯の生える時期に個人差はありますか?
A: はい、かなりの個人差があります。一般的には5歳半〜7歳頃に生えてきますが、早い子では5歳前に、遅い子では8歳頃に生えることもあります。また、上下左右の6歳臼歯が全て同時に生えるわけではなく、通常は下の歯から生えてくることが多いです。生える順番や時期に多少のばらつきがあっても、すぐに心配する必要はありません。
Q3: 6歳臼歯が生える際に痛みを訴えることがありますが、正常ですか?
A: 6歳臼歯が生えてくる際に、軽度の不快感や痛みを感じることは珍しくありません。特に歯茎が被さっている状態(歯肉弁)では、噛むたびに刺激を受けて痛みを感じることがあります。ただし、強い痛みや腫れ、発熱などを伴う場合は、歯肉炎や感染の可能性があるため、早めに歯科医院を受診してください。
Q4: シーラントはいつ頃行うのがベストですか?
A: シーラントは、6歳臼歯の咬合面(噛む面)全体が口腔内に見えるようになってから行うのが最適です。早すぎると唾液の混入でシーラントの効果が十分に発揮されず、遅すぎると既に虫歯が始まっている可能性があります。通常は歯が生え始めてから6ヶ月〜1年以内が適切なタイミングとされていますが、お子さまの歯の状態によって最適な時期は異なりますので、定期検診で歯科医師に相談することをおすすめします。
Q5: 6歳臼歯に虫歯ができかけていたら、どうすればいいですか?
A: 初期の段階であれば、フッ素塗布や生活習慣の改善などで再石灰化(自然治癒)を促すことができる場合があります。しかし、既に象牙質まで達している虫歯の場合は、早めの治療が必要です。小さな虫歯のうちに治療を行えば、削る量も少なく、治療も比較的簡単で短時間で済みます。大切なのは早期発見ですので、定期的な歯科検診を受けることをおすすめします。
当院での6歳臼歯予防について
十日市場ファミリー歯科では、お子さまの6歳臼歯を守るための総合的な予防治療を提供しています。6歳臼歯が生える前の段階から適切なケアを始めることで、虫歯リスクを大幅に減らすことができます。
6歳臼歯を守るための総合的な予防治療の特徴
1. 個別リスク評価と予防計画
お子さま一人ひとりの口腔内状態、生活習慣、既往歴などを総合的に評価し、個別の予防計画を立てます。この計画は定期的に見直し、成長に合わせて調整していきます。ご希望の患者様には唾液検査で細かくリスクを分析することも可能です。
2. 親子で学ぶ歯磨き教室
6歳臼歯を効果的に磨くための専用テクニックを、保護者とお子さまに一緒に学んでいただきます。実際の口腔内の状態を写真や染め出しで確認しながら、具体的な磨き方を指導します。
3. 予防処置の適切なタイミング管理
6歳臼歯の萌出状況を定期的にチェックし、最適なタイミングでシーラントやフッ素塗布などの予防処置を行います。早すぎず遅すぎない、「ジャストタイミング」を見極めることで、予防効果を最大化します。
4. 定期管理システム
お子さまの年齢や虫歯リスクに合わせた最適な間隔での定期検診をご案内します。予約管理システムを活用し、次回の検診時期が近づくとお知らせメールを送信するなど、継続的なケアをサポートします。また、処置内容がわかるキッズノートも無料でお渡しします。
まとめ:お子さまの一生の健康を左右する6歳臼歯
6歳臼歯は、お子さまの将来の咀嚼機能や歯並びに大きく影響する重要な歯です。生えてくるタイミングや特性により虫歯リスクが高いものの、適切な予防策を講じることで、健康な状態を維持することが可能です。
特に大切なのは、
- 6歳臼歯の重要性と特徴を理解すること
- 生えてくる時期を把握し、早期からケアを始めること
- 正しい歯磨き習慣とプロフェッショナルケアを組み合わせること
- 定期的な歯科検診で状態を確認すること
大人になってからの健康な口腔環境の基礎は、子どもの頃のケアによって作られます。6歳臼歯をはじめとする永久歯を守ることは、お子さまの一生の財産を守ることにつながります。
私たち十日市場ファミリー歯科は、お子さまの歯の健康をサポートすることを使命としています。6歳臼歯のケアについてご不安な点やご質問がありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。一緒にお子さまの健やかな成長と笑顔を守っていきましょう。
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